本研究の目的は、日本国民がどの程度、日本の民主主義政治システムに対する支持態度(システム・サポート)を持っているのかを、1970年代後半から2000年までにわたり時系列に分析し、そのシステム・サポートの源泉となる要因を探ることである。本研究における仮説は、日本国民が蓄積してきている人間関係資本(social capital)と、政治システムの業績に対する国民の評価が、日本のシステム・サポートの形成にインパクトを持っているというものである。しかし、研究初年度であった平成13年度は、おもに従属変数である日本のシステム・サポートを実証的に測定し、その時系列の変化を示すことに主な精力が向けられた。また、研究代表者が参加している、文部科学省科学研究費の特定領域研究(B)「世代間利害調整に関する研究」(領域代表者・高山憲之)のA7班「世代間利害調整の政治学」(研究代表・北岡伸一)における全国世論調査研究のごく一部として、本研究に利用可能な貴重なデータを得ることが出来た。その結果、本研究の従属変数である「政治システムの支持態度」の分析を1976年から2000年度までのみならず、2001年度にまで延長して分析することが可能になった。 これらの研究の結果、国会、政党、選挙という民主主義の根幹となる政治制度に対する信頼感が、1996年(61.6%、65.3%、75%)を境に2000年(27.7%、29.3%、54%)、2001年3月(15.6%、21.3%、32.3%)へと急激に下降したことが明らかになった。その結果をアメリカ政治学会とウィルソン国際センターにて英語で報告した。
|