今年度は、以下の研究を行った。 1.持続可能性指標として近年活発に用いられてきている、Net Investment(NI)について、その意義付けを拡張する研究を行った。これまで、功利主義的社会的厚生関数の最大値を用いて資本ストック・ベクトルを評価し、その評価値の変化率の符号とNIの符合が一致することがわかっていた。本研究では、より一般的な評価関数を前提したうえで、各世代が持続可能性からの「遣産制約」のもとで合理的行動を行うと、やはり資本ストック・ベクトルの評価値の変化率の符号が、NIの符号と一致することを示した。また、同時に、「弱い持続可能性」と「強い持続可能性」がどのような条件で生じるのか、明らかにした。この研究は"An Extension of Welfare Significance of Net Investment and Sustainable Development"としてセミナー報告を行った。 2.パレート効率的動学経路の、費用便益分析に基づく開発と環境保全の評価比較を行い、いくつかの条件のもとでは、環境保全が選択されることを導出し、"Pareto Efficiency and the Environmental Conservation"のタイトルで学会報告を行った。(2001年度環境経済政策学会:2001年9月29日-9月30日)
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