アジア諸国の産業・貿易構造と経済成長:アジア長期経済統計に基づく実証研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13630003
• 研究機関: 一橋大学
• 研究代表者: 深尾 京司 一橋大学, 経済研究所, 教授 (30173305)
• 研究分担者: 園部 哲史 東京都立大学, 経済学部, 教授 (70254133) ; 宮川 努 学習院大学, 経済学部, 教授 (30272777) ; 北村 行伸 一橋大学, 経済研究所, 助教授 (70313442)
• キーワード: 生産性 / 経済成長 / 産業集積 / 直接投資

研究概要

初年度として、資料の収集やデータベースの作成を中心に作業を進めたが、研究発表リストにみげたように、既に数多くの分析成果も生み出している。主な実績は1.コスト関数側から各国の産業別生産性上昇率を推計することをめざして、旧COEプロジェクトで収集したデータを出発点として、アジア各国の物価、産業別賃金データを追加的に収集、入力した。このデータをもとに宮川は日中間の均衡為替レートの算出作業を進めている。なお、中国では、国営企業に代表されるように企業が住宅、教育サービス、手厚い年金等を労働者に提供しており、労働コストを評価するにはこれらの費用を考慮に入れることがぜひとも必要である。そこで劉は中国に出張しこの点に関する情報収集を行った。
2.国連、各国統計等に基づき、各国の産業構造に関するデータを整理した。日本については宮川、深尾が内閣府経済社会総合研究所における『日本の潜在成長率の研究』ユニットに参加し、本プロジェクトと連携しながらデータベースを作成中である。その成果の一部は同研究所より『JIPデータベース産業別設備投資系列作成作業報告書』として発表された。また宮川は日本のIT化が生み出した産業構造変化と生産性変動に関する分析を発表した。
3.アセアン諸国や中国の工業化を理解する上では、日本等の外資系企業の活躍が見逃せない。そこで深尾は、日本、米国等の直接投資統計を収集した。また園部、東郷はマレーシアに出張し、電子産業の発展において外資系・国内独立系企業それぞれが果たした役割を調査した。深尾はアジア通貨危機下での日系現地法人の対応に関する分析を発表した。
4.工業化の上では産業集積や企業の立地選択が重要な意味を持つ。そこで中国、台湾、フィリピン、日本等について地域別データを収集、分析した。その成果に基づき、園部は一連の論文を発表した。

研究成果

• [文献書誌] 深尾京司, 宮川努: "産業別設備投資系列作成作業報告書『日本の潜在成長力の研究』ユニット"内閣府 経済社会総合研究所(JIPデータベースシリーズ1). (近刊). (2002)
• [文献書誌] 宮川 努(伊藤由樹子, 原田信行と共著): "産業別IT投資と産業間の波及効果"日本経済研究センター『情報化と企業行動』所収. 41-71 (2002)
• [文献書誌] Sonobe, t(with Otsuka, k.): ""a New Decomposition Approach to Growth Accounting : Derivation of the Formula and its Applicantion to Prevas Japan""Japan and the World Economy. 13. 1-14 (2001)
• [文献書誌] Sonobe, t(with Dinghuan Hu, Otuka, k.): "The Process of Cluster Formation in china : Case Study of a Garment Town"Gournal of Development Studies. (forth-coming).
• [文献書誌] 園部哲史(川上桃子氏と共著): "台湾における経済発展と産業立地-製造業センサス:データによる分析"アジア経済. 第42巻第1号. 2-19 (2001)
• [文献書誌] 園部哲史(知優氏と共著): "日本における大気汚染対策の経済誘因:都道府県データによる分析"日本経済研究. (掲載予定).
• [文献書誌] Kyoji Fukao edited by T.Ito, A.O.Kruger: ""How Japanese Subsidiaries Asia Responded to the Regional Crisis : An Empirical Analysis Based on the MITI Survey"「Regional and Global Capital Flows」所収"The University of Chicago Press, Chicago and London. 267-310/(394) (2001)