研究概要 |
本年度は研究初年度であり,主として市石教授の協力を得て戦略的情報開示を分析するための非協力ゲームの協力ゲーム的ベージアン・ゲーム・モデルを共同で作成するとともに,非対称情報下の協力ゲーム的ベージアン・ゲームに関する従来の文献および先端的研究の成果を展望する論文をワーキング・ペーパーとしてまとめた.また,この過程で非対称情報下の協力ゲーム的ベージアン・ゲームをラージエコノミーの一般均衡モデルに適用した場合のインセンティブ・コンパティブル・コアーの存在問題に関する研究を一つの成果とし,ワーキング・ペーパーとしてまとめ,国内の学会の場で発表した.オハイオ州立大学の市石教授は年度途中から1年間の予定で一橋大学の教授に就任されたので,この1年間は「海外共同研究者」から共同研究者とした.他方,英国ケンブリッジ大学経済学部のHara助教授を12月に招聘し,市石教授と共同で取り組んでいる上記モデルに関するベージアン均衡の基盤となる存在問題に取り組み、予備的な諸結果を得つつある.これらの結果について,共同で得られた部分については,8月の国際学会での発表を予定しており,またHara助教授の貢献による部分は原助教授が6月の国際学会で発表する予定である. さらに,年度末の3月には米国からWeber教授を招聘し,共同で計画している非協力ゲームにおける戦略的コーディネーションの安定性の問題についての研究討議を実施し,本年度以降の打ち合わせを行なった.
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