研究概要 |
この研究では,各経済主体のインテリム段階での戦略的な情報開示が,市場メカニズムを通して市場成果にいかなる影響を与えるかを,非協力ゲームの協力ゲーム的ベージアン・ゲームの視点から分析することを目的として,つぎのように幾つかの成果を発表した. (1)インテリム段階でどのような契約が戦略的に締結されるか表現する一般的な協力ゲーム的ベージアン・ゲーム・モデルを構築し,このモデルから得られた結果を従来の文献に見られる結果と比較しつつ英文著書原稿としてまとめた.これは海外の出版社から出版される予定となった. (2)非対称情報下でインセンティブ・コンパティビリティーを要請する場合のインテリム・コアに関するこれまでの論文では,インテリム・コアが非存在となる問題がクローズアップされてきたが,今回の研究ではインセンティブ・コンパティブルなインテリム・コアが非空となる条件を明示し,同時にそのような条件を満たす例を列挙した論文を公表した. (3)上の2の問題をラージ・エコノミーの一般均衡モデルで分析し,ラージ・エコノミーの場合には有限人の経済主体の場合と比較してより一般的な状況でインセンティブ・コンパティブルなインテリム・コアが非空となることを明らかにした. (4)リスクを伴うネットワーク間の資産移転における戦略的な情報開示と効率的リスク負担の研究過程で,一般均衡モデルにおける資産価値の確定に関する条件を,市場における売買価格差から説明することができることを証明した論文を公表した.
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