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2002 年度 実績報告書

アダム・スミスの信用理論の研究

研究課題

研究課題/領域番号 13630011
研究機関岡山大学

研究代表者

新村 聡  岡山大学, 経済学部, 教授 (00167561)

キーワードアダム・スミス / 信用 / 銀行
研究概要

平成14年度中に、主として次の3点について研究した。
第1は、スミス信用理論の形成過程の解明である。昨年度までの研究において、『法学講義』から『国富論』にいたるスミスの信用理論の形成・発展過程の大筋をスコットランド金融史との関連で考察した。本年度はさらにスミスの理論的思考の進化過程の細部について詳細な検討を加え、エア銀行の不良債権の累積とその処理の失敗が1772年に同銀行の破綻と金融恐慌を引き起こした経過をスミスが理論的に認識したことが、かれの信用理論の発展に大きく影響したことを明らかにして、論文として発表した。
第2は、スミスの信用理論を「市場と政府」という経済思想の一般的枠組みの中で考察する研究である。経済主体の自由放任と市場の競争による規律を基調とするスミスの一般的な経済思想の中で、かれの信用理論における銀行の法的規制の容認や銀行経営の自己規律の強化の提言は異質な側面に見える。しかしこれを例外として無視するのではなく、むしろスミスの経済思想を両側面の総合として把握する必要があることを確認し、さらにスミスの信用理論は市場経済に固有の金融不安定性を認識する点において、有効需要論とともに重商主義者ジェームズ・スチュアートやのちのケインズの経済思想と共通する点があることを明らかにした。この考察結果は、本年度の経済学史学会大会共通論題において「アダム・スミスにおける市場・政府・モラル」として報告した。来年度にはさらに考察を加えて論文として発表する予定である。
第3は、スミスの信用理論を18-19世紀の信用理論史の中に位置づける研究である。昨年度から引き続いてスミスの理論をジェームズ・スチュアート、ヒューム、通貨学派、銀行学派などとの関連において考察した。これは来年度にさらに詳細に研究する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 新村聡: "金融システム安定化の古典理論-アダム・スミス銀行論の成立過程-"岡山大学産業経営研究会研究報告書. 37. 1-25 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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