研究概要 |
私の研究計画は高校へ出かけていって高校生へ「政治・経済」の補助手段として経済学に関する模擬授業を行いながら,彼らの反応を吟味することを通じて大学で経済学を教えるのにどのようなテーマを選べば良いか,さらにどのように教えるべきであるかを研究することである.この計画に従い,広島県にある2つの高校,県外にある2つの高校で模擬授業を行った.長崎県南高校ではその学生の感想文や私の講義レジュメを高校のホーム・ページに掲載していただいた.(http://www1.odn.ne.jp/minami/html/bun/bun.1.htm参照.)さらに広島県主催の講演会で高校生相手に模擬授業を行った.そのための準備も兼ねて広島大学付属高校の先生方と研究会を開き,高校の現場における「政治・経済」の問題点を洗い出し,いくつかの教科書「政治・経済」を取り上げてその点検作業を行った.その結果,高校教員に経済学部出身者が少ないことなどの理由のため「政治・経済」のうち経済の部分を教えるのが難しいこと,さらにはそれを理由として(勿論これのみが理由ではない)「政治・経済」の科目を提供していない高校が少なくないことが判明した.その意味で本研究テーマは短期的には学生を引き付ける教科書を高校および大学で提供すべきであり,緊急の課題であることが確認され,私は来年度に大学における「経済学」教科書を執筆することにしている.しかし長期的には高校へ経済学の知識を持った有能な教員を供給すべきであるとの課題を発見した.
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