本研究では、既存企業が独占的に保有する生産要素の利用(通信網等のインフラストラクチャーへのアクセス)のための料金決定、いわゆる接続料金のあり方について"Cournot Competition in Regulated Industries"を作成し、International Economic Associationの世界大会(リスポン)で報告した。参入企業が支払うべきアクセス料金の高さについては、それが既存企業の直接費用と参入を許すことによって失われる機会費用の和とすべしとするBaumol=Willig等によるECPR(efficient component princing rule)が基本的なものとされてきた。しかしこのルールでは参入市場が競争的であることをおよび、既存企業の利潤制約がないことを想定されていた。本研究においては、参入市場が寡占的であることをも含む一般的モデルにおきてアクセス料金のルールを示した 具体的には、本研究では(1)Economides=White等の寡占市場の線型モデルを非線型モデルに拡張し、さらに非同質財のケースの分析行っている。また(2)Laffont and TiroleやArmstrong他の分析では、競争市場における需要関数や供給関数に関する超弾力性(super elasticity)や転位係数(displacement ratio)という複雑な概念を用いているのに対し、ここでは相対的な逆需要関数の偏弾力性を用いてそれらの概念との対応を示し、ECPRルールの明確な意味づけを行った。さらに(3)最適課税理論との関連についてもいくつかのこれまで指摘されていない結果を示すことができた。
|