研究課題/領域番号 |
13630016
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
赤林 英夫 慶應義塾大学, 経済学部, 助教授 (90296731)
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研究分担者 |
グレーヴァ ヘンリク 筑波大学, 社会工学系, 助教授 (60280905)
グレーヴァ 香子 慶應義塾大学, 経済学部, 助教授 (10219040)
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キーワード | 労働 / ゲーム理論 / 情報 / 不完全市場 / 戦略的行動 / マイクロデータ / 転職 |
研究概要 |
本研究では、不完全市場を前提とするゲーム理論他の応用ミクロ経済理論の成果を利用して、労働供給と探職行動、更にはそれに伴う労働者の移動や入職等の基本的メカニズムの再検討を行い、労働市場政策を「戦略的」側面から再評価を行うための基礎的研究とすることを目的とする。 今年度は、まず、実証に利用できるマイクロデータの再検討を行った。具体的にはNLSY等の米国の家計データを整理し、また日本のデータとして、家計経済研究所の「消費生活に関するパネル調査」の使用許可を得て、分析も始めた。さらに、労働移動行動の評価のために、南アフリカ共和国のOctober Household Surveyの見直しも行った。 予備的分析として、NLSYおよび「消費生活パネル」について統計分析を行った。その結果、学歴や労働時間が転職に影響をおよぼすことなどが見えてきた。企業の規模についても影響があるようであった。さらに、南アフリカ共和国に関しては、主に、家計内の戦略的リスク回避と出稼ぎ行動について分析と検討を開始した。 予備的分析から、賃金以外にも、それぞれの労働者がおかれた状況(学歴、労働条件など)が各個人の行動に複雑に影響していることが示唆される。そこで、転職の理論として、労働者一人一人をプレイヤーとし、いくつかの環境パラメターを設定した転職行動のモデルを考えている。そこでは特に、転職機会の集合が個人あるいは環境によって異なることを明示的に導入する予定である。また、南アフリカの分析に基づいて、不完全労働市場における最適ポートフォリオとしての出稼ぎ行動理論の構築をめざしている。 また、いくつかの学会において、関連した研究の報告および情報の収集を行った。
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