わが国の女性の労働力率はとくに20代前半と40代から50代前半で高く、その他の層で低いという特有の傾向をもっている。これをグラフでみるとM字型を示すことがよく知られている。 欧米諸国でも女性の就業パターンは20年ほど前まではM字型を示していた。しかし、いまは逆U字型となっている。M字型をとる国としては、日本以外では韓国とニュージーランドがある。 本研究では、女性の就業パターンに類似性をもつ日本、韓国、ニュージーランドを比較対照し、女性労働とそれを支援する体制について考察した。研究を通して、日本、韓国、ニュージーランドの女性が出産と育児を機に継続就業を中断し、子育て後に再び市場に参入するときには、いずれもパートの仕事や非典型の労働に従事していること、女性の継続就業を支援するのに重要な役割を果たす育児休業制度や保育制度では、その制度の整備状況がニュージーランド、日本、韓国の順になっているが、どの国でも典型労働者には利用しやすく、女性に多い非典型労働者には利用しにくい制度となっていること、などが明らかになった。 今日、女性は高学歴化し、自立志向も強くなっている。人的資源としての女性の価値も高くなっている。この状況の中で、社会的制約により女性が就業上で不利な扱いを受けるとすれば、それは社会全体の損失であり、それに対し、国、企業、家庭のどのレベルにおいても何らかの対策が必要となる。仕事と家庭の両立を可能にし、M字型を持つ女性の就業パターンに変化をもたらす施策は、(1)女性の自立、(2)人的資源の有効利用、(3)産業・国家経済の発展、を目指すうえでの重要課題である。
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