今年度は、OECDから発行されている米国、カナダ、ドイツ、フランスの産業連関表を使い、昨年に引き続き、日本に関して行った と同様に、消費財部門と投資財部門の2部門へ分割したときの二部門資本集約度の計測を行った。さらに、近年の経済発展が著しい、韓国に関しても同様の計測を試みた。韓国に関しては、就業者数の産業部門間データが整備されていないため、経済危機後の計測を十分行うことができなかった。しかしながら、1995年には二部門間の集約度比が0.96となり、日本経済が1974年に経験したように、ここ数年間で、消費財部門の資本集約度が投資財部門のそれを凌駕するという、「集約度の逆転」が生じているのではという兆候を掴むことができた。また、上記OECD諸国では、消費財部門の集約度が投資財部門のそれよりも1.3倍以上高いという状態であることが判った。特に統合前ドイツは、二部門集約度比が1.8という非常に高い比率を示していた。日本の部門間資本集約度比が1.1であることを考えると、非常に高い値である。なぜこのような相違が生じるのかということに関しては、さらなる検討が必要であるが、一要因として、経済の国際的分業化の度合いが関係しているように思われる。実際、日本の場合、つい最近まで、資本財の全輸入に占める割合は先進国中で非常に低かった。さらに、各部門の資本集約度の変化を観てみると、米国と統合前ドイツでは、明らかに定常状態への収束が観測された。この事実は、集計されたマクロデータを使ったマクロ資本集約度では観察されなかった事実である。これら計測結果をもとにして、さらなる比較検討が必要である。
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