研究概要 |
今年度は3か年計画の3年目であるため,これまでの研究成果の公刊に主眼をおいた.人的資本形成(教育)が能力に依存する経済を想定し,能力が低く低成長にある経済が年金制度の拡大により高成長均衡に移行し得ることを示した論文を,年金に関する海外の専門雑誌に公刊した(1).教育補助金の成長率効果を分析した論文(Brauninger and Vidal(2000):Journal of Population Economics)の分析上の不備を指摘し,短期の分析結果が長期分析にもあてはまることを示した論文を,海外の人口経済学の専門雑誌に公刊した(2).前年度国際学会で報告した論文を改訂請求にもとづき修正した(3).論文は海外の財政学の専門雑誌に掲載を受理されている.事故的遺産により所得格差が生ずる経済を想定し,高齢化が少子化の要因となり得ること,高齢化の初期段階では所得格差と成長率の間に正の相関があること,高度高齢社会では所得格差と成長率の相関が負となり得ることを示した(4).論文は校正を終え,紀要に掲載される予定である.(4)の論文を精緻化し,海外の人口経済学の専門雑誌に投稿した改訂請求にもとづき現在論文を修正中である. (1)"Public Pensions and Take-off,"Journal of Pension Economics and Finance Vol.2,No.1,pp.25-39,2003 (2)"Private versus Public Financing of Education and Endogenous Growth : a Comment on Brauninger and Vidal, Journal"of Population Economics Vol.16,No.2,pp.395-396,2003. (3)"Simple Criteria for Growth-Enhancing Social Security Systems,"forthcoming in FinanzArchiv Vol.60,No.1,2004. (4)"Demographic Transition and Income Inequality in an Accidental Bequest Model,"forthcoming in Nanzan Journal of Economic Studies Vol.18,No.3,2004. (5)"Growth and Inequality: A Demographic Explanation."
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