研究概要 |
本研究は,近年,経済の実証分析において盛んに用いられるようになってきている経済サーベイ・データをベイズ統計学の立場から解析するための統計手法の開発を目的としている。本年度は,過年度に引続き,本研究を進めるにあたり必要と思われる文献,データの収集を行うとともに,香港のセンサス・データを用いてベイズ法による不平等度の推定を行った。具体的な研究概要は下記の通りである。 1.北海道大学の古澄助教授との共著論文"Estimation of Lorenz curve : A Bayesian nonparametric approach"がJournal of Econometrics誌に掲載された。 2.単著論文"Bayesian analysis of Lorenz curve from grouped data"及び日本福祉大学の上田助教授との共著論文"Measuring chronic and transient components of poverty : A Bayesian approach"は専門誌に投稿中である。 3.香港城市大学のAlan Wan準教授と共同で香港のセンサス・データを用いて不平等度の1つの指標である一般化エントロピー尺度をベイズ法に基づき計測した。また,同データを用いて,香港の労働市場における香港生まれの労働者と中国大陸からの移民労働者の所得稼得の差異に関して混合分布モデルを使ったベイズ法で分析した。これらの分析結果は,幾つかの論文として纏められ,専門誌に投稿する予定である。
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