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2002 年度 研究成果報告書概要

経済時系列の長記憶性と構造変化に関する統計理論

研究課題

研究課題/領域番号 13630027
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 経済統計学
研究機関一橋大学

研究代表者

田中 勝人  一橋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (40126595)

研究期間 (年度) 2001 – 2002
キーワード確定的トレンド / 確率的トレンド / 長期記憶性 / フラクショナルARIMA / 最尤推定 / ウェーブレット / シミュレーション
研究概要

本研究で得られた結果は次の通りである.
1 経済時系列の非定常性の源泉であるトレンドについて,確定的なトレンドと確率的なトレンドの違いを理論的に解明した.結論としては,両者は本質的に異なるものであるが,現実の時系列がいずれのトレンドをもつかを判定する場合の統計的検定の検出力はかなり低い.実際,確率的トレンドを確定的トレンドであると誤って判断することの危険性は非常に大きい.
2 確率的トレンドは,階差パラメータdを実数に拡張したフラクショナルARIMAモデルで近似するのが普通であるが,本研究では,このようなモデルから得られるさまざまな統計量の漸近的な性質を分布論の観点から調べた.特に,定常性と非定常性の境界点であるd=1/2の場合については特別な考慮が必要であることを明らかにした.
3 上記のフラクショナルARIMAモデルについて,統計的な問題として,実際の観測値がノイズ,あるいは観測誤差の影響を受けているかどうかの検定問題を考察した.最初に,時間領域の検定を提案したが,その検定は理論的には最良の検定でも,ノイズが大きくなるにつれて実際の検出力が低くなるという欠点をもっていることがわかった.その理由は,ノイズが大きくなるにつれて,シグナルの部分の相対的変動が小さくなり,シグナルが識別不能な状況となるからである.
4 同じく,フラクショナルARIMAモデル,および,それにノイズが加わったモデルの推定問題を,従来から行われている周波数領域の推定だけでなく,ウェーブレットの方法による推定の観点から考察した.推定方法として,最小2乗法および最尤推定法を考えた.そして,有限標本におけるこれらの推定量の性質をモンテカルロ・シミュレーションにより調べた.その結果では,定常な場合には周波数領域における最尤推定が優れているが,非定常性が強くなるにつれて,ウェーブレットに基づく最尤推定がよい振る舞いをすることがわかった.ただし,漸近的な性質や理論的な性質の検討は,今後の研究課題である.

  • 研究成果

    (10件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (10件)

  • [文献書誌] Tanaka, K.: "K-asymptotics associated with deterministic trends in the integrated and near-integrated processes"The Japanese Economic Review. 52. 35-63 (2001)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 田中 勝人: "非定常経済時系列におけるトレンドの統計的問題"『現代経済学の潮流』(東洋経済新報社). 111-135 (2001)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Tanaka, K.: "A unified approach to the measurement error problem in time series models"Econometric Theory. 18. 278-296 (2002)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 刈屋, 田中 他著: "経済時系列の統計-その数理的基礎"岩波書店. 318 (2003)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] 田中勝人: "経済統計(第2版)"岩波書店. 228 (2002)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Tanaka, K.: "K-asymptotics associated with deterministic trends in the integrated and near-integrated processes"The Japan Economic Review. 52. 35-63 (2001)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Tanaka, K.: "A unified approach to the measurement error problem in time series models"Econometric Theory. 18. 278-296 (2002)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Tanaka, K.: "Statistical problem of trend in nonstationary economic time series (in Japanese)"Trends in Modern Economics-2001. 111-135 (2001)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Tanaka, K.: "Economic Statistics, 2^<nd> edition (in Japanese)"Iwanami Shoten. (2002)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] Kariya, T., Tanaka, K. et al.: "Statistics for Economic Time Series - Its Mathematical Foundation (in Japanese)"Iwanami Shoten. (2003)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

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公開日: 2004-04-14  

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