研究概要 |
非定常時系列をさらに、ベクトル時系列に拡張すると、ベクトルの自己回帰が単位根を含む場合になるが、これは共和分(Co-integration)分析となり、単一変数よりも複雑になる。共和分分析は、簡単にはベクトルのなかに何個単位根が含まれるか、その場合の推定は如何に行われるべきであるかという問題である。他方、イギリスを中心に開発され、かつ発展してきた、自己回帰の誤差修正(Error Correction)モデルは「長期均衡」という概念を自己回帰式に導入して多くの実証的成果を挙げていた。そして現在は、この誤差修正モデルと共和分分析が相乗して、ますます理論的にも実証的にも関心が広がっているのである。 構造変化は,その変化時点の特質により検定結果が大きく左右される.このような検定はその結果を安定したものとは考えることができない.一つの解決法は,変化時点を未知として,すべての可能な変化時点について検定を行うことである.他方,変化区間に対して単位根を検定する方法もある.この方法により,既存のデータを解析したところ,検定結果はかなり実感に近いものとなった.つまり,検定結果は全く構造変化がない場合の結果と,一点での変化による結果の中間に入り,データの性質を素直に示していると考えられる.従来より柔軟な推定ならびに検定の方法を用いているので、経済学的に納得のいく結果が求まった。 定数項ならびに確定トレンド項を含む検定を、新しい観点から考察し直すこともした。
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