金融と保険の合流という視点から、金融工学と日本の金融イノベーションの関係の研究を続けている。機能的金融論の立場から刈屋提案の信用リスク分析法が、保険リスクを分析する上で有効であることを議論している。 また、気温変動リスク管理は、企業のキャッシュフロー管理として重要である。実際に金融や保険においてのリスクヘッジ手段として、気温デリバティブの取引が活発になっている。今年度は特にこの問題に焦点を当て、次のような研究をした。 1)分散変動(SV)モデルによる東京の日次平均気温の予測分布-気温デリバティブ・プライシングモデル 2)リスクスワップの価値評価問題 3)リスクスワップの検証 2)では、東京電力と東京ガスのゼロコスト気温デリバティブの交換(スワップ)の合理性を検証する理論的枠組みを与え、そのフエアネスを評価する理論を展開した。 3)では、実際のデータと1)のSVモデルに基づき、東京電力と東京ガスゼロコスト・リスクスワップの合理性を実証的に検証した。 論文としては、『分散変動(SV)モデルによる東京の日次平均気温の予測分布(第1版)-気温デリバティブ・プライシングモデル-』(2003年2月Discussion paper)を仕上げた。
|