研究概要 |
本年度における具体的な研究成果は、過去20年間の市町村間、都道府県間の所得分配の推移について、市町村ごとの課税所得をもとに計測した。方法としては、アトキンソン尺度をもとに所得分の不平等度を計測しその推移について検討した。分析の結果から多くの都道府県では、バブル期までは不平等が上昇、それ以降低下するという傾向が見られた。以上の成果は、現在のところディスカッション・ペイパーとして、以下の論文にまとめられている。 "Divergence or Convergence?:Income Inequality between Towns, Cities and Villages,"(各務和彦(神戸大学大学院)・福重共同論文)神戸大学経済学部Discussion Paper No.0107 2001年9月 上記の論文において、東京都は、バブル崩壊以降も市町村間の不平等度が一貫して上昇し続けている特殊な地域であった。全国の地域間所得分配を検討する前に、この地域の構造的な変化を検討するため、クラスター分析を使って、地域構造の変化について検討した論文が、現在準備中の論文:「バブルと一極集中がもたらしたもの-東京都の経済の20年-」(各務和彦(神F大学大学院)・福重共同論文)神戸大学経済学部Discussion Paper準備中である。この論文においては、東京への生産や消費といった数量的な一極集中は頭打ちであるが、東京都への集中そのものはバブル以降も継続していることが明らかとなった。 この他いくつかの論文について学会報告を行った。
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