昨年度より作成していた、クラスター分析を用いて地域構造の変化について検討した論文を、「バブルと一極集中がもたらしたもの-東京都の経済の20年-」 (各務和彦(神戸大学大学院)・福重共同論文) 神戸大学経済学部Discussion Paper No.0202、2002年5月 としてまとめた。この論文においては、数量的な一極集中は頭打ちであるが、東京都への集中そのものはバブル以降も継続していることが明らかとなった。 本年度は、地域間所得分配の計量モデルを構築するため、まず地域間の賃金格差を説明するモデルとして、人的資本が賃金に与える影響を含めた、賃金決定関数の推計を行った。この部分は、ディスカッション・ペイパー "How Much Effect Does Human Capital Have on Interregional Wage Differentials in Japan?" (鈴木恭輔(神戸大学大学院)・各務和彦(大阪大学大学院)・福重共同論文) 神戸大学経済学部Discussion Paper No.0204、2002年6月 としてまとめた。さらに、地域の政府資本が地域経済の成長に与える影響を計量的に検証し、この部分は、日本経済学会において、"Prefectural Production Function and the Range of Effective Government Capital" (宮良いずみ(大阪大学大学院)・福重共同報告) というタイトルで報告し、現在論文としてまとめているところである。以上の計量モデルに加え、地理情報システムを用いて地域間所得分配と人口移動について分析を学会報告するための準備を行っている。
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