研究課題/領域番号 |
13630037
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
椎名 恒 北海道大学, 教育学研究科, 助教授 (50281762)
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研究分担者 |
佐藤 真 岩手大学, 教育学部, 助教授 (00192097)
中山 徹 大阪府立大学, 社会福祉学部, 教授 (40237467)
木村 保茂 北海学園大学, 経済学部, 教授 (40003959)
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キーワード | ダム建設 / 不安定雇用 / 季節労働 / 労働過程 / 教育訓練 / 建設労働者 / 公共土木事業 / 生産システム |
研究概要 |
この1年間の主な調査は、基礎的なデータの収集、整理、分析を行いながら、忠別ダム現場調査を夏に実施し、開発建設部担当者、JV所長、職員、一次下請2社、一次下請労働者10人の面接調査を行った。また補足的な調査を12月(函館建設労組)と3月(開発建設部、一次下請ほか)に実施した。以上を通じて、第一に土木事業における労働力の構造を統計的に把握し、そこにダム建設労働を位置づけることを試みた。第二にダムがコンクリート提体とフィル提体の複合された構造を持つことによって、施工面で2本立ての体系が形成され、従来のダム建設に比較してより複雑な内容をはらむことを明らかにした。第三に基幹的な労働部面として、(1)骨材生産・(2)コンクリート提体打設・(3)フィル提体盛り立ての3分野が基軸になること、そしてそのそれぞれにおいてが異なる生産システムと労働編成・労働過程が存在していることが浮き彫りになった。このことは従来のダム建設労働研究では必ずしも十分意識されていないし解明されていない点である。特に(3)のフィル建設工程とそこでの労働に関わる今日的な実体解明に一歩前進することを可能にした。さらに第四にダム労働者の全体的な年齢、技能、雇用形態などの編成上の特質が、建設労働者一般とも土木労働者一般とも異なる特質が技術的また安全対策や下請・労務統括的な要因によって存在することが明らかになった。第五に労働過程と地域での生活を分離するのではなく統一的に把握する上で労働者の居住-通勤形態における宿舎と自宅の相違、それに影響された地域との関係性の度合いの相違を意識した検証が重要となることが明らかになった。
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