本研究の2年目は、オーストラリアにおける住宅金融システムに関する統計を収集した後、1年目に収集した日本、英国、米国、インド、タイ各国の統計と合わせて、住宅抵当貸付市場の効率性に関する各国の比較分析を行った。特に分析対象国のそれぞれについて抵当市場におけるリスク分析を行い、住宅抵当貸付金融システム全体について制度・政策の具体的な評価を行った。評価を通じて、各国で見られる抵当貸付システムが、その他の国においても適用可能であることが明らかとなった。研究成果の一部については、ウィーン(オーストリア)で開催されたEuropean Network of Housing Researcherにおいて報告し、学会の中で不動産・住宅分析を専門とする学者や住宅金融機関の専門家らと議論を行った。最後に、1年目に行った日本における住宅投資に関わる金融・財政政策の評価、東京における住宅需要分析、ならびにインドにおける抵当貸付市場分析に、本年度の各国比較分析と研究期間を通じたそれぞれの分析の総括を行い、研究成果報告書としてまとめた。
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