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2002 年度 実績報告書

東・東南アジアの貧困問題と潜在能力アプローチに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 13630041
研究機関東京大学

研究代表者

池本 幸生  東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (20222911)

研究分担者 佐藤 宏  一橋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (50211280)
寺崎 康博  東京理科大学, 経営学部, 教授 (90136622)
キーワード貧困 / 所得分配 / 潜在能力アプローチ / 東南アジア / 東アジア
研究概要

本研究の目的は、東・東南アジアの貧困問題を事例としてアマルティア・センの潜在能力アプローチを現実の課題に応用可能な形に展開することにある。先進国の援助政策の変更に伴って貧困対策は発展途上国における開発政策の中で中心的な位置を占めるようになってきている。それにも関わらず、貧困の実態は必ずしも改善したと言えるわけではないのは、依然として貧困を低所得として一元的に捉えているからであり、貧困を多元的に捉えようとするアマルティア・センの「潜在能力アプローチ」を用いるのが望ましい。しかし、これまで潜在能力アプローチに対して大さな期待が寄せられながら、実際に応用された例は少なく、その有効性は証明されていたわけではなかった。
本研究では、潜在能力アプローチの有効性を示すために、ベトナム・ラオス・中国等の貧困問題・所得格差問題について潜在能力アプローチに基づいた分析を行い、次の点が明らかになった。従来の所得分析では、貧困と所得との関連が間接的であるために恣意性が入り込む余地があり、それが貧困対策の有効性を損なう原因となっていた。それに対して貧困を潜在能力として把握すれば、潜在能力によって直接、貧困を捉えることができ、同時に潜在能力を直接、政策目標として採用することもできるという利点がある。さらに潜在能力に加えるべき機能は、特定のコミュニティを対象とするときには一般に考えられている以上に容易に特定することができる。
本研究の成果は、雑誌論文等の他、2001年と2002年にケンブリッジ大学で開催された「潜在能力アプローチに関する会議」やその他の場で報告された。政策面への応用では、国際協力事業団のプロジェクトとしてラオス政府への攻策提言の中に盛り込まれており、また国際協力銀行のベトナムにおける灌概プロジェクトの移転対象住民のベースライン調査に生かされている。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] 佐藤 宏: "中国沿海部の郷鎮企業改革と経営者の行為様式"一橋論叢. 115・6. 598-614 (2001)

  • [文献書誌] Terasaki Yasuhiro: "The Impact of Changes in Family Structure on Income Distribution in Japan, 1989-1997, Rising Inequality of Household Income Reconsidered"Journal of Popilation and Social Security. 1・1. 2-15 (2002)

  • [文献書誌] 池本 幸生: "貧困をどう捉えるか:A.センの潜在能力アプローチ"東亜経済研究. 61・1. 27-39 (2002)

  • [文献書誌] 佐藤 宏: "出稼ぎ農民は職場をどのように歩いているか"大島一二編『中国進出日系企業の出稼ぎ労働者』芦書房. 17-41 (2001)

  • [文献書誌] 池本幸生: "多様性と普遍性--貧困問題から考える"東京大学東洋文化研究所 編『アジア学の将来像』東京大学出版会. (近刊). (2003)

  • [文献書誌] Ikemoto Yukio: "Poverty Alleciation Policies and Ethnic Minority People in Vietnam"Alkire/Comim/Qizilbash eds. Justice and Poverty : Examining Sen's Capability Approach, Cambridge University Press. (近刊). (2003)

  • [文献書誌] Sato Hiroshi: "The Growth of Market Relations in Post-reform Rural China"Routledge Curzon, London. 277 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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