本研究の目的はポーランド、チェコ及びハンガリーの中欧三カ国におけるマネー・マーケットに関する制度改革を実証的に比較考察することにある。平成13年度及び平成14年度の二カ年にわたり、この目的を達成するために、テーマに関する欧文文献及び邦文文献を収集し、それらを整理した上で解読し、まずマネーマーケット改革に関する実情を国別に把握し、次にそれらを比較考察する作業を行った。研究は現在もなお継続中であるが、二年の実施期間中に所期の自的は一応達成できたと考えている。その間に得られた研究成果は次の通りである。 1.中欧三カ国における社会主義から資本主義への体制移行はポスト社会主義諸国の中でもっとも順調に進行し、1990年代末までには基本的に完了したことを実証することができた。 2.中欧三カ国の体制移行はEUへの収斂運動の方向をとっており、マネー・マーケットの制度改革についてもEUスタンダードへ収斂しつつあることを確定することができた。 3.中欧三カ国におけるマネー・マーケットの制度改革は主としてEUの人的・資金的・技術的支援を受けながら国有銀行の私有化、国有銀行の不良債権処理、金融機関に対する監督システムの制度化及び金融機関に対するコーポレート・ガバナンス・システムの制度化などを継続的に行ってきたことを明らかにしえた。 以上の研究成果は論文の形で公表したが、それはまだ一部にすぎず、残りの部分については今後引き続き印刷物の形で公表する予定である。
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