当初予定に沿って2種類の作業を並行的に進めた。 第一に、米国の知的所有権制度・政策がしばしば「ニューエコノミー」と表現されてきた経済構造の変化と深く関連し合っている点を意識して、米国ニューエコノミーの全体像とその中心的内容を明らかにすることに努めた。これについては、いわゆるニューエコミー論の来歴、類型区分とそれらの相互関係、中心的な論理構造とそこに潜む矛盾点、時の流れに沿った重点の移行等を一通り検討し、その基本的な特徴を検出することができた。また、ニューエコノミー論台頭の背景をなした米国の「20世紀末景気」(1991年3月〜2001年3月)に焦点を合わせ、大局的にみたその特徴をつかもうという意図のもとにNIPAデータの分析を試みた。 第二に、ビジネスモデルやバイオ特許といった国際特許競争のフロンティア領域に関して、今日的な問題状況を把握するための第一歩と位置づけて、国内外の雑誌、新聞、インターネット上の関連論文・.記事の収集・検討にあたった。同時に、当該分野における研究の現在水準とより深めるべき問題ないし論点を探る目的で、国内外の学術研究および概説書の内容を吟味する作業にも取り組んだ。
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