3か年にわたる研究の初年度に当たる平成13年度においては、まず、今後の研究基盤の整備に主眼を置いた。 具体的には、第一に、既に蓄積されている関連した先行研究について、サーベイした。その結果、米国について、輸入競争が国内雇用に与える影響に関する計量的実証研究が、輸入の中で中間投入財を区別するなど、近年更に充実されていることが確認された。また、日本や欧州についても、米国の場合と同様な研究の端緒が見られ始めていることもわかった。今後、更に、関連研究のフォローを随時アップデートしつつ継続していくこととする。 第二に、関連する統計についての整備状況を調査した。その結果、米国データを中心に、インターネットで相当程度の情報が公開されてきつつあることがわかった。しかし、他方、依然として、日本については、特に、貿易関連データと国内産業統計の分類の問題等により、必要なデータが必ずしも容易に揃わない状況にあることも確認された。このため、今後、従来利用されていたデータを組み合わせるなどして、新たに利用可能性が拡充されたデータベースの構築を試みることとしている。 第三に、以前に自らの研究の過程で蓄積されてきた関連データを用いて、本研究課題に関する計量的実証研究に着手し、その一部については、論文としてまとめ発表した。今年度においては、輸入競争が国内生産量に与える影響のミクロ計量分析等にとどまったが、今後、本研究計画に関する他のテーマについても、順次データが揃い次第、分析を行っていくこととしている。
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