| 研究概要 |
我々は,今回の研究方針として,実態調査のなかから問題点を見出し,それについて経済分析を行うとともに,現実的で建設的な政策の評価・提言を行うことをめざしている。本年度も,そうした目的意識のもとで,水平的競争制限の経済政策に関して以下のような調査・研究を行った。
合併・買収の研究については,2001(平成13)年11月の発表以来世間の関心を集めた日本航空(株)と(株)日本エアシステムの経営統合についての調査・研究を行った。関係者に対するヒアリングと各種資料にもとづき,競争政策上の問題点を整理・指摘する論文を発表した。
航空市場の水平的競争制限についてはさらに,諸外国の興味深い政策的対応を参考にするべく,ドイツにおけるルフトハンザとユーロウィングスの合併,および,ルフトハンザのゲルマニア航空に対する略奪的価格設定,といった事例についての競争政策当局の対応,および航空市場の競争促進に関する航空政策当局と競争政策当局の対応について,それぞれの政策担当者からヒアリング調査を行った。来年度はさらに他国での事例調査を積み重ねる予定で,それらと比較して日本の航空産業に対する産業政策・競争政策を分析する論文を準備中である。
昨年度,世界的な市場集中の調査・研究を行ったが,そこで市場集中が進んでいるとされた二輪車市場について,主要メーカーの一つである川崎重工業(株)をとりあげ,ヒアリングと各種資料にもとづいて,その歴史を分析する論文を発表した。
価格カルテルの研究については,昨年度に調査した水道メーター市場についてヒアリング調査による追跡調査を行った。我々は,入手したデータから再度談合を行っているかもしれないという懸念を抱いていたところ,公正取引委員会は調査に乗り出した。この事件に関する公取委の調査結果を待ちながら,市場集中とカルテルに関する論文を準備中である。
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