(1)本研究は、1990年代に大規模に進んだ自動車産業の国際的再編成のなかで日本自動車産業が如何なる変化を遂げたかを自動車企業及び企業間の地域集積構造の変化に焦点を当てて分析を試みようとするものである。それは空洞化研究の一部をなすものである。 (2)研究は、A :自動車産業及び企業それ自体の研究、B :地域経済分析、C :現地調査の3つの柱で構成されている。本年度は特に、Aについては日本自動車産業の国際的再編の研究、モジュール化問題、リーン生産方式の研究、マツダ及びフォードグループの研究を行うことにしていた。これらの研究は、主として文献研究であり、十分に行えた。その成果は「日本自動車産業の開発・生産・販売の国内構図--1991年〜2000年--」(『東亜経済研究』第62巻1号)に発表した。現在その続稿「日本自動車産業の国際分業の世界構図--1991年〜2000年--」(『東亜経済研究』第62巻2号掲載予定)を執筆中である。 (3)Bについては、広島市及びその周辺地域経済分析、広島市及び山口県の地域産業連関表分析、福岡県宮田町の地域経済分析、山口県防府地区の地域経済分析を行うことにしていた。またそのためにC広島市及びその周辺地域の調査を主に行うことにしていた。しかしこれらは不十分に終わらざるを得なかった。その主たる理由は、本学大学院東アジア研究科(博士課程)の研究科長として管理運営業務に忙殺されたため、現地調査が十分な余裕をもって行えなかったためである。現地ヒヤリング及び資料収集を行ったが、論文に纏めるには至らなかった。
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