(1)本研究は、1990年代に大規模に進んだ自動車産業の国際的再編成のなかで日本自動車産業が如何なる変化を遂げたかを自動車企業及び企業間の地域集積構造の変化に焦点を当てて分析を試みようとするものである。それは産業空洞化研究の一部をなすものである。 (2)A:自動車産業及び企業それ自体の研究:日本自動車産業の世界生産の状況をトヨタ、日産自動車、ホンダ、三菱自動車、マツダについて行った。また日産自動車及び三菱自動車の経営リーダーシップがRenault、DaimlerChryslerに移譲されたことによって、リストラクチャリング、下請け会杜、関係会杜との関係がどの様に変わったのかの分析を行った。これらは論文としてすでに発表した。またマツダにおける1996年以後のFordの経営リーダーシップが広島市及びその周辺地域における地域集積にどの様な影響を与えたかについて分析した。自動車部品サプライヤーにおける構造的再編について分析した。これについては投稿中である。 (3)、B:自動車産業の集積地域経済分析:愛知県豊田市、広島市及びその周辺地域経済分析のための現地調査、資料収集及び一部の分析を行った。愛知県豊田市については、県レベル、市レベルの統計資料およびローカル新聞記事、商工団体、関係会杜の資料分析段階である。広島市及びその周辺地域については分析を終わり投稿中である。 (4)調査研究の大まかな結論については、別途報告書にとりまとめ中である。トヨタ・ホンダと日産自動車・三菱自動車・マツダとの間にかなり対照的なメーカー・サプライヤー間の企業関係が形成されつつあり、それが地域集積に違った型を形成しつつあることが明らかになった。
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