「サービス経済化時代における都市集積の経済性に関する実証的研究」の一環として、教育サービスの観点から「小中高等学校の規模と教職員数」と題して、山口県の小中高等学校の児童・生徒数と教職員数との間の一般的関係を導出し、小規模校の問題点を中心として教育における規模の問題を実証的に提起した。また都市の空間構造について「日本における都市の階層性と空間構造」において、現在の日本のデータに即して、直近大都市圏なる概念を示して、その有効性を明らかにした。とくに、ある都市の規模がその直近大都市圏の距離と極めて密接な関係を持っていること、また、直近大都市圏距離とその順位との間には「順位・距離ルール」なる関係があることを示し、都市間距離と都市規模との間の関係を実証的に示した。行政改革が都市規模と密接な関係を持つ点はすでに筆者が数多く指摘してきたところであるが、それを進めて、「都市規模と民間委託及び地方財政(I)(II)」では、現在問題となっている公的事務業務の民間委託が都市規模と密接な関連をもつことを実証し、小規模都市では民間委託が遅れている状況を示した。「都市観光の魅力とその要因」は、サービス経済化を支える1つの産業としての観光産業に焦点を当てて、集客経済の到来と、とりわけ都市観光に関して、その魅力を主成分分析によって示した。最後に、「山口県勢活性化への提言」と題して、「山口県産業の雇用力」「山口県のサービス産業」「山口県の工業」「山口県の所得と生産性」「現代における産業と都市」「山口県の都市構造」などの一連の分析を通じて、新しい知見を交えて解説・提言した。
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