オーストリア学派の経済学では、方法論的個人主義が徹底している。主流派経済学のように、各経済主体がベネフィットを最大にし、コストを最小化するといった仮定を設けて分析を進めるのではない。各経済主体が市場メカニズムの中で自らの行動により情報を獲得し、それをもとにしてあらたな意思決定を行っていくプロセス全体を対象に検討を進めていくのである。 また、オーストリア学派の経済学では、主観主義が重視されており、ベネフィットやコストは主観的なものであって、第三者にとっては測定不可能であるという想定がなされている。これは、漁家の意思決定を考える際にはひときわ重要であり、漁業者は、結果的に非効率な行動を取ってしまうことも多いが、試行錯誤によってあらたな意思決定を行い、資源と市場の動向に応じた経営行動を探索していく。あらかじめ決められた戦略に基づく意思決定よりも、行動で獲得された情報による意思決定が重要である。
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