本研究の当初の意図は以下の通りであった。 1)ロシア中央黒土地域を例として、その特徴を詳細に検討すること。 2)ロシア中央黒土地域の特徴とロシア中央地域の特徴との比較検討を行うこと。 3)ロシアにおける市場経済制度の発展過程への理解を深めること。 これらのうち、2年間に達成できたことは、これらの意図を行うのに必要かつ十分な統計資料の入手、部分的な現地調査、それらの整理作業、整理した資料にもとづく論文執筆でありたが、かなりの部分は達成したとはいえ、完遂されたわけではない。具体的にいえば、1)および2)については、かなりの程度達成しえたと考えるが、3)については課題が巨大であるため、十分に達成しえなかった。それは、何よりもロシアの地域経済の実情が統計資料と簡単な現地調査を拒むほどの巨大な課題であったためである。それにもかかわらず、この巨大な課題にわずかなりとも切り込むことができたのではないかと思われる。すなわち、訪問した地域(6つの州およびモスクワ、サンクト・ペテルブルグ市)を直接訪問し、豊富な統計資料を入手し、整理できたことはそれ自体大きな成果であった。さらに、その資料を使って「ロシア経済の現状と展望」という論文を執筆し、ロシアの地域経済に関して1節をもうけて論じることができた。課題の達成は未完であるが、今後も新たに入手するであろう資料をも合わせて用いることによって計量・統計分析を行い、ロシア中央黒土地域ばかりでなく、それに隣接する地域との比較をも行う予定である。
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