研究概要 |
本研究は次の目的でなされた。 1.企業の生産性の決定要因分析,生産におけるR&D,知的財産権の役割の分析。 2.企業の知的財産権の価値の決定要因分析,価値決定とR&D投資の関係の分析。 3.大学,研究機関のR&Dが知的財産権を介して企業のR&Dにどのように影響するかについての分析。 4.上記1,2,3の実証分析に基づく,国の研究開発政策,知的財産権制度のあり方の検討。 2年計画の第1年度として次の研究を行った。第1は,知的財産権の経済的価値の測定である。これは通商法337条で規定されたUSITCにおける特許訴訟をサンプルとして,特許の経済的価値を測定した。この結果,特許の経済は,その保有者,成立年,特許の重要性等の個別属牲によって異なることが判明したが,さらに訴訟と交渉過程によっても大きく変動することが示された。これは知的財産権の範囲とその強制力を保証する法制度が,特許権の経済的価値に大きく影響することを意味する。この意味で,法制度の要因を無視した知的財産権の測定は意義が小さいことが示された。第2に,世界の代表的企業を対象にした,保有特許と企業価値の関係を検討するために,データベースの作成を行った。第3は,医薬品特許データを使用して,医薬品のにおける,発明の源泉,発明成果の国,企業,個人間の伝播の様式の実証研究を行った。
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