再生可能エネルギーの利用が一般化するとともに、市場システムをいかに活用するかが課題となっている。わが国でも平成12年に日本自然エネルギー株式会社が設立され、グリーン電力証書がはじまった。 本年度はヨーロッパにおける再生可能エネルギー利用の市場化の状況について調査を実施した。7月にヨーロッパ風力エネルギーコンファレンスに参加、グリーン証書による市場化の状況について欧州各国の現状について情報を入手した。 またデンマークにおける風力発電機製造業の発展には、同国のイノベーションを重視した技術政策、中小企業政策が密接なかかわりをもっている。その観点から同国の中小企業政策をまとめたのが、「デンマークの中小企業政策」である。また技術史的な側面についてはデンマーク語の文献に限られる。そのひとつであるJytte Thordahl著Dansk Elproducerende Vindmoller 1892-1962を翻訳したのが「デンマークの発電用風車1892〜1962 Poul la Courの理想風車からJohannes JuulのGedser風車まで」である。現在、翻訳の途中であり、継続して訳出中である。 と同時に風力発電機の需要側、とくにデンマークにおける協同組合方式での共同所有が風力発電の当初の普及に及ぼした効果について、まず、文献の調査を行った。この点について、これまでは英語文献しか調査しえていない。そこからわかったことは、デンマークにおける協同組合的風土と関連していることがわかった。詳細は「風力発電と協向組合的所有--デンマークの場合--」にまとめている。ただ、風力発電装置そのものが大規模化し、大きな資本を必要とするようになって、株式会社方式が、協同組合的所有自体は相対的に重要性を失いつつあると思われる。また、現代的な問題については、風力発電機所有者協会の会長に対するインタビュー調査を実施した。この調査結果は、現在、とりまとめ中である。
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