1.再生可能エネルギーによる発電のような小規模発電が受け入れられるようになるためには、電力産業における規制緩和・自由化が必要であった。自由化にはアメリカ型、イギリス型などがある。これらと日本の電力の自由化を比較検討した。 2.再生可能エネルギー普及のための経済政策には、規制的な政策と誘因的な政策がある。欧米における政策は、規制的な政策から誘因的な政策へ重点が移りつつある。その中心はグリーン証書とよばれる購入証明書を市場で取引するという手法である。しかし他方で、そのような市場化には抵抗もあり、デンマークでは最近、グリーン証書制度の導入を中止することになった。 3.日本では、産業政策の中で規制的な政策手段が中心となってきた。再生可能エネルギーに関しては、電力市場がきわめて規制の強い産業であったため、介入的な政策手段が中心であった。介入的政策の手段は、補助金、優遇融資、優遇税制、技術開発支援があげられる。ここでは、わが国における、再生可能エネルギー利用促進政策の推移を1970年代から展望した。21世紀になってから、アメリカ的な再生可能エネルギー割当制度(Renewable Portfolio Standard)が検討され、2003年4月より施行された。ここでは、このような変遷の背景と問題点を検討した。 4.再生可能エネルギーは地域性をもったエネルギーであるため、発電事業者の事業形態について、協同的な組織によって所有されるケースが多かった。近年、市場の拡大とともに、企業による所有が増加しつつある。このような所有形態の違いが再生可能エネルギー利用に及ぼす影響を検討した。 5.技術開発支援についても、アメリカ、ドイツやオランダにおける大規模技術への公的支援策をとった国々がいい成果をあげられず、小規模技術を中心として公的支援がほとんどなかったデンマークが世界市場で支配的な地位を獲得した背景を検討した。
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