平成13年度研究計画に従い、次のような作業を行った。まず、国内諸機関から研究書を収集すると同時に、訪タイし(平成13年10月25日〜11月10日)、タマサート大学やチュラロンコーン大学で関係資料を収集した。とくにタイ国立公文書館史料については、タマサート大学歴史学科の院生を助手として雇用し史料収集上の協力を得た。そして、公文書館の史料は100年前の手書きの資料であることから、これをタイプに打ち直し、項目別に整理して翻訳・読解した。また、バンコク経済史研究の分野で精力的な仕事を行っている、スコータイ・タマチラート大学のポーパン・ウィヤーノン教授と現地で数度の研究会を持ち、研究動向や史料の所在などの点で教示を受けた。さらに、来年度に国立公文書館や国立図書館等で直接に史料の閲覧・収集するために、タイ国家研究評議会(NRCT)の許可を得るための手続きを行った。 これらの史料収集活動を行う一方、「バーンラムプー地域と都市化」「タイ内帑局とラーチャダムヌーン道路開発」「タイ内帑局と予算制度改革」などの研究論文を発表した。また、その成果の一部を東南アジア史学会関西例会(平成13年11月17日)において「タイ内帑局と財政改革」のテーマで報告した。今年度の研究活動は、(1)内帑局が王族給養機関から投資機関へと変身する、その経過と背景を考察するとともに、(2)内帑局が不動産投資を通じて都市開発に貢献する、その実態を解明することに重点を置いた。来年良も引き続き、この分野での研究を継続するつもりである。
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