研究概要 |
本研究の目的は、近世日朝貿易の内容を数量的に、かつまた貿易に従事した人々の助向を微視的に把握することにある。このため日本国内外に散逸した膨大な対馬藩宗家の記録類を調査し、分析することが研究の主眼になる。本年度、実施した史料調査とその概要は以下の通りである。 (1)韓国・国史編纂委員会調査……9月2日〜6日韓国・京畿道果川市 (2)長崎県立対馬歴史民俗資料館ほか調査……11月13日〜17日長崎県下県郡厳原町 このうち(1)は、昨年同様、海外共同研究者(鄭成一氏)の交渉によりマイクロ・プリンター使用を許可され、代官記録・朝鮮方日記・銅貿易関係記録など一部筆記を入れて35冊(総計4,132枚)の調査・収集ができた。収集史料は総てファイル製本し、帳簿等の分析作業に入っている。(2)は、昨年収録できなかった朝鮮方と勘定方の帳簿、書状、さらに幕府との関係を把握するための公儀献上記録などを調査した。ここでは、収集史料を総て35ミリ及び16ミリ・マイクロフィルムに撮影し、30本分(30ミリフイルムにして、約21,000コマ)を収集。現像後、研究室保有のプリンターによって焼付け、現在ファイル製本、分類・整理作業を行っている。 今年度は、海外共同研究者の日本留学年にあたり、(3)東京大学史料編纂所、(4)慶應義塾図書館、(5)国立国会図書館、(6)東京国立博物館、の各所蔵記録を共に調査し、データ分析の手法等について研究打ち合わせを綿密に行うことができた。現在、対馬藩全体の収支記録を集め、藩財政に占める貿易の割合、時代別の特徴などを、微視的に検討している。
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