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2002 年度 実績報告書

19世紀アメリカ農業労働者の研究

研究課題

研究課題/領域番号 13630098
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

岡田 泰男  慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (90051482)

キーワードアメリカ / 農業 / 農業労働者
研究概要

19世紀アメリカの農業について、南部は奴隷制プランテーション、北部は家族労勧力に依存する家族農場が支配的であったとする見方が通説であり、農業労働者の存在は無視されてきた.本研究の目的は、いわば忘れられてきた農業労働者に焦点を当て、彼らに関する史料を収集し、その実態を探るとともに、彼らが19世紀アメリカ農業において、いかなる位置をしめ、いかなる役割を果たしたかを明らかにすることであった.
とりあえず地域としては北部を中心とし、ニューイングランド、ニューヨーク、そして中西部に焦点を合わせて史料を収集した.全体の状況を知るためには国勢調査のマニュスクリプト資料、個別的には雇用者たる農民の日記、勘定帖などに重点を置いた.国勢調査資料から明らかになったことは、自らの職業を農業労働者とする農村住民が、かなり多く存在することであった.しかし、その中には農民の息子も多く、後の史料を見ると、農民として独立したものも多い.労働者から農民へという、農業はしご説を支えているのはこうした人々であった.注目されるのは、中年のアイルランド移民など、外国移民であり、彼等は必ずしも工業労働力になったわけではなかった.
雇用者の方から見ると、中規模以上の農場では、通常は家族労働力に頼りつつも、農繁期、とくに収穫期には、ほとんどすべてが労働者を雇用していた.家族農業といわれる北部においても、労働者なしには、農業経営が成り立たなかったことが分かる.農業労働者は然し農場でのみ働いていたわけではない.農閑期には彼等は都市や運送業で働いていた.また賃金は現物支給とはいえ、労働者は町の商店で買い物をし、それが雇用者たる農民の勘定に加えられた.ここに商人、農民、労働者という結びつきも存在した.また北部で黒人が働いている例もあった.以上、農業労働者が無視すべからざる存在であることが明らかになったといえよう.

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 岡田泰男: "ニューヨーク州西部農業の変化"三田学会雑誌. 94・2. 19-50 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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