研究概要 |
1.計量分析による実態調査を始める前に,これまでの日本における金融自由化の進行過程を整理しその意義と課題を歴史的に考察した。また、この研究を整理して、「変貌期の金融・証券システム」(勁草書房2002年3月出版予定、4人の共著)という題目の本を出版することとなった。 2.実態調査の第番目として、金融機関の生産効率性の地域格差を計測する。これにより、金融不況が全国均一に発生しているか否かを検証した。文献を収集し、統計学の専門家の助言を受けて、計測手法である確率フロンティアモデルの理解をより一層深め、続いて、プログラム・パッケージ(RATS)によって、モデルを計算するプログラムを作成し、必要なデータを収集してデータファイルを作り、モデルを推定した。結果は、北海道・東北地域の金融機関が最も効率性が低く、四国・九州地域が効率が高い。金融不況は北海道・東北地域に強く生じており、一般の認識とほぼ一致する 3.実態調査の第二番目として、金融機関のパーホォーマンスと経済成長のグランジャー因果関係を、パネルデータを用いて1976-1999年までに渡って計測した。全期間において双方向の因果性が検出されたが、1990-1999年の金融不況期においては、金融機関のパーホォーマンスから経済成長への一方向の因果性のみが検出され、金融不況において金融機関の重要性を示唆するものとなった。 4.実態調査の第一番目の論文は2001年度金融学会秋季大会とthe 10th Conference on the Theories and Practices of Securities and Financial Markets (台湾)で報告され、第二番目の論文は2001年度応用地域学会とHonam University(韓国)のセミナーで報告された。
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