研究課題/領域番号 |
13630106
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
小栗 誠治 滋賀大学, 経済学部, 教授 (70303758)
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研究分担者 |
丸茂 俊彦 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (00291419)
中野 桂 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (40324561)
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キーワード | 金融システム / 金融政策 / 銀行流動性 / システミックリスク / 銀行の戦略的価格付け / 金融機関の再編統合 |
研究概要 |
IT革命が進展する中で金融システムは大きな変貌を遂げているが、本研究はそうした金融システムの変化を多元的に捉え、分析しようとするユニークな試みである。本研究は3年間にわたるプロジェクトであるが、14年度の研究実績は以下のとおりである。 1.金融市場構造の変化 金融市場における流動性供給を中心にして、金融ビッグバン以降の金融機関のあり方について、金融契約理論の観点から理論分析を行った。具体的には、短期金融市場における銀行の流動性需要に関する従来の理論分析を整理したうえで、これを基に新たな経済モデルを組み立てた。その成果はセミナー等で報告を行うとともに、今後、学会や論文等で発表の予定である。 2.金融機関の経営形態の変化 (1)一般支店からインターネット上のホームバンキングへの銀行業務の移行と、(2)手数料収入の収益化に対する理論モデルの構築を行い、これら経営戦略の変化と金融機関の再編統合の関係を解明することを目標とし、研究中である。このうち、(2)の手数料収入の収益化については、多くの大手金融機関が土曜日のATM利用料徴収に踏み切る一方、手数料無料を打ち出すところも現れ、戦略的競争がまさに活発化してきたところである。そこで、14年度は銀行の戦略的価格付けについてとくに集中して研究を行ってきた。 3.中央銀行の役割の変化 IT革命が進展する中での日本銀行のマネタリー・ポリシーおよびプルーデンス・ポリシーについて包括的な検討を行った。具体的には、日本銀行の金融政策の効果と限界、金融機関の不良債権問題、金融機関の新しいビジネスモデルへの取組み、政府の資本注入と日本銀行の「最後の貸し手」機能について分析し、その成果の一部については中国の東北財経大学において発表した。
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