研究概要 |
平成13年度の研究計画として 1.まず最初に世界各国の付加価値税制の現状について,特に電子商取引の扱いに注意してまとめる。有形財の扱い,無形財の扱い,ソフトウェアなどデジタル化された商品の取り扱いが焦点となる。 2.電子商取引の様々な形態を特に支払い方法に注目しながら調べ,「どの時点で,誰が,どのようにして」課税が可能なのかを考察する。クレジットカードによる支払い,電子マネーによる支払いなど,匿名性の有無が課税形態に及ぼす影響を検討し,さらに企業間取引,企業対消費者間取引など取引形態の差を考慮して取引形態に合わせた課税方法の検討を行う。 3.課税主義(仕向地主義と原産地主義)についての最近の文献をサーベイし,課税主義と電子商取引の課税との関係を考察する。アメリカ財務省の報告では電子商取引に対しては仕向地主義が適しているとしているが,EUではこれまで通り原産地主義に向けての移行が進んでいるので,早晩課税の競合が起こることになる。したがって,電子商取引に対する税制を課税の競合という観点から捉え直す。 を挙げたが,特にこの中の2と3に着目して,玉岡雅之(2001)『電子商取引と付加価値税-原産地課税・送金システムの検討-』を著した。電子商取引はその仕組み上,取引自体を把握しづらいので従来の課税主義である仕向地主義と原産地主義に加えて無税主義が現れる可能性を指摘し,これら3つの課税主義の競合を検討した。また1に関連してソフトウェアのダウンロードなどに対する課税方法の1つとして原産地課税・送金システムがあるが,これ自体も課税主義の1つとして捉え,その特徴や問題点を指摘するとともに課税主義の競合の点から検討を加えた。
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