研究課題/領域番号 |
13630112
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
川瀬 光義 静岡県立大学, 経営情報学部, 教授 (40195095)
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研究分担者 |
只友 景士 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (30303762)
佐々木 雅幸 立命館大学, 政策科学部, 教授 (50154000)
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キーワード | 高率補助金 / 基地 / 北部振興 / 内発的発展 |
研究概要 |
30年間にわたり沖縄で展開されてきた財政政策は、「本土との格差是正」をめざした高率補助による公共事業、および基地集中の維持するための基地交付金と軍用地料の支給を2本柱としていた。 普天間飛行場の移設予定地である名護市で展開されている政策を検証すると、従来の施策と比べて次のような特長をみせている。第一は、従来の高率補助に加えて、いわゆる裏負担にも100%交付税措置された起債をみとめるなど、格段の財政優遇策を講じていることである。第2に、北部振興事業などに、使途を定めをい「調整費」という予算措置を講じていることである。 こうした財政上の優遇措置によって、県内の市町村においては70年代と比べると近年補助事業費の比重が大きく低下している中にあって、名護市においてはなおも70年代とかわらない規模の補助事業が展開されていることが明らかになった。また、基地移設受け入れと引き換えにこうした振興策予算を獲得している名護市の事例を目の当たりにして、浦添市、伊良部町などでも基地を受け入れて地域振興をはかる動きがみられる。 他方、名護市を含む沖縄本島北部地域は「山原」(やんばる)といわれ、天然記念物でありかつ絶滅危惧種であるジュゴンの生息域を有するなど、世界遺産に匹敵する自然環境を有することから、環境の保全と両立する産業振興、例えばエコ・ツーリズムや地場産業を再興しようとする動向の検証もおこなった。その一環として、同じくジュゴンの生息域を有するオーストラリアのグレート・バリア・リーフの環境保護と産業振興政策の調査もおこなった。連邦政府レベルにおける主務官庁であるなグレート・バリア・リーフ海上公園管理局の役割は、環境の保護(prptection)、賢明な利用(wise use)、永続性(propetuity)というキーワードに集約できること、グレート・バリア・リーフは観光資源として10億オーストラリア$の価値があると試算されていることなど、環境と経済振興を両立させる施策が追求されていることが明らかになった。 また、分担者である佐々木は、久米島などでみられる地域資源をいかした地場産業、および県内でのIT産業振興の動向も追跡している。
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