研究概要 |
本研究は,実務面では審査活動で想定されるようないわゆるクレジットス・コアリングと、ALM活動で一部取り込まれている信用リスク計量化との間の関連性が必ずしも十分でないのではないか,情報の経済学分野での研究成果から、金融仲介機関の存在意義はその情報生産機能に求めるという認識が一般的になっているが、従来金融機関の情報生産活動としては、審査活動のみが念頭におかれていたが、ALMに代表されるようなリスク管理との関連を明示的に取り入れるべきではないかという問題意識のもとで行なわれているものである。 本年度は,急速に発展してきた信用リスク計量化にかかわる理論を再度整理するため,格付けを利用した信用リスクの計測,社債価格からの信用リスクの計測,株価からの信用リスクの推計,という基準で先行研究の文献収集・整理を行なうと共に,この他にも計量分析との対応で,スワップ・プレッド,LIBORスプレッドにかかわる先行研究の文献収集・整理を行なった。さらに情報の経済学の立場から金融機関の貸出審査活動をとらえる考え方との関連も探った。これらの先行研究に関する詳細な関連づけ等については,次年度以降の検討課題である。計量分析として,LIBORスプレッドと社債・株式データから推計される信用リスク量との関連性や,上場・社債発行・格付取得企業に関して,日本証券業協会の社債の基準気配データをもとに格付・業種等との関係を探ることとし,データの収集・整理を中心に研究を進めた。また,LIBORスプレッドの計測も1999〜2002年3月初までを,時系列的に比較できるようなところまで進めることができた。
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