今年度は3年間における初年度であったために、研究の準備期間として位置づけられる。まず日本とEU諸国における年金制度、税制、そして年金税制の歴史をふまえる必要があった。このために、年金、年金税制に関する基本文献を読解してきた。また従来の研究業績のサーベイのために、学術雑誌掲載の研究論文も読んできた。 ついで基礎データの収集、データの分析が必要であった。基礎データとしては、EU加盟国と日本についての人口構成、高齢化に関する人口の年齢構成、公的年金の財政収支、私的年金の財政収支、税収構成、年金課税による税収等が重要になる。データ収集にあたっては、本学や関西圏の図書館では不十分であり、東京出張を実施してきた。 年金は税制上の優遇措置を受けていることが多い。イギリスの私的年金は拠出局面のみならず、運用局面でも、ほとんど非課税となっている。こうして年金に資金が流入し、資金運用を活発におこなうことで、年金基金は証券市場において巨大な機関投資家となっている。イキリスの場合、株式保有において、実に30%程度が私的年金によって保有されている。また同時に活発に海外証券投資も行っており、日本の株式にも投資している。こうした側面を中心に今年度は研究ノート「欧州系機関投資家の日本株投資」をまとめた。
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