本研究は、現在進行しつつある市町村合併の動きを睨みながら、将来的に分権社会を形成していく最適な自治体規模について、理論的・実証的な観点から分析を行い、合併への示唆を探ることを意図している。 平成13年度は、第1に、兵庫県内の自治体首長へのアンケート調査を基に、自治体首長のイメージという点から適正規模を探り出し、またプロビッド分析の手法を用い、合併に動き出す動機づけ等についての実証分析を行い論文にまとめた(裏面に記載した図書に掲載)。 第2に、兵庫県内の合併事例の事後検証として篠山市に焦点を当て、合併後の「総合計画」や「財政計画」を検討し、合併のメリット・デメリットについての分析・検討を行い論文にまとめた(裏面に記載した論文および図書に2本掲載)。 第3に、地方交付税の交付団体と不交付団体を比較しながら、両者の歳出構造の相違と、各歳出項目間の相違から、最小経費規模という視点からの最適な自治体規模に関する実証分析を行った(未発表、近日発表予定)。 平成14年度は、第1に、初年度に引き続き篠山市を対象に、合併と財政状態への影響について財政分析を行い、篠山市職員研修の機会に報告した(2003年3月14日)。 第2に、篠山市の刺激を受けて合併協議会をスタートさせた兵庫県氷上郡6町の職員を対象に合併に関するアンケート調査を行い、論文にまとめた(未発表、近日発表予定)。 第3に、本研究の主要テーマとして、欧米の公的供給財の非競合性を計測することを意図した実証研究について文献サーベイを行い、論文にまとめた(未発表、近日発表予定)。 第4に、前述の文献サーベイを踏まえ、日本の消防サービスを対象に非競合性を計測した。その結果、非競合性の存在を確認すると共に、人口と並んで面積の要因を考慮する必要性を見出した(未発表、近日発表予定)。
|