本研究は環境保全型製品やサービスの魅力度を高め、資源循環や環境保全に結びつくライフスタイルを普及・浸透させるために、企業はどのようなコミュニケーションを行なうべきか、そのあり方についての基礎的な研究を行なうことが目的であった。本年度は当研究プロジェクトの完成年度であった。そこで、これまでの研究成果をまとめると共に、提案する「生活者の環境配慮型行動規定要因モデル」の妥当性と汎用性、および、企業のより具体的な環境コミュニケーション戦略の方向性を示すことを目指して、以下のような研究を行った。 1.これまでの研究を通じて構築した「生活者の環境配慮型行動規定要因モデル」を昨年適用したゴミ減量行動だけでなく、リサイクル行動、省エネ行動、エコロジー商品の購買、有機野菜の購入等のさまざまな環境配慮型行動に適用した。その結果、提案モデルはさまざまな環境配慮型行動にも適用可能であり、汎用性が高いことが確認された。 2.環境関連の情報収集における促進要因と阻害要因についても、1のモデルに基づき分析し、生活者の環境コミュニケーションの特徴を捉えると共に、望ましいコミュニケーションのあり方についても検討を加えた。 3.上記の成果を学会で発表すると共に、査読つき国際会議や査読つき学会誌等に投稿した。 以上のような研究を通じて、生活者の環境配慮型行動に関する統合モデルを構築することができた。また、環境配慮型行動やライフスタイルを促進させるためには、生活者にわかりやすいルールや参加しやすい仕組みを構築するだけでなく、コミュニケーションを通じて、環境保全の重要性や個人の生活との関連性の強さを理解させることが不可欠であること等が明らかになった。
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