欧米先進国における保険企業は、1980年代以降金融の規制緩和・自由化と産業構造一般の変化という経済環境の激変により大きく変貌し変革を迫られることとなった。とりわけ、保険企業間のみならず、金融の同質化の進展により他の金融機関との競争が激化する一方で、消費者保護が強化され消費者による保険企業への選別行動が顕著になった。 こうした困難な環境下で、とりわけ生命保険企業は一方では「生活保障産業」の一翼として、他方では「長期産業資金供給機関」として大きな役割をになっている。しかし、明らかに他の産業一般に遅れて発展する「後追い型産業」としての生命保険企業は、ここ十数年間にドラスティックな変化を受けつつある。すなわち、競争からの生き残り戦略として商品開発・販売はいうにおよばず、いかにして保有資産の効率的運用のよる財務体質の強化を図るかである。歴史が示すとこる、これまでの保険企業の経営不振・経営破綻の多くは「資産運用の失敗」によるといわれてきた。本研究では、環境変化と資産運用行動の環境適応行動という観点から、平成13年度中には保険企業の「後追い的性格」を確認し、同時に経済環境の変化に対応した資産運用行動の特質を米国・英国・日本を中心に析出する努力をした。
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