ビジネスプロセス概念と記述を発展させ、ビジネスプロセス全体の設計方法として展開してソフトウエアとして具体化するために、以下の研究を行った。 (1)ビジネスプロセスの動的特性制御装置として資源所要量計画システムという情報システムを適用するために、俊敏な生産スケジューリング計画システムを定式化した。さらにorderLinksという市販の詳細計画パッケージを使って、独自にデータベースとプログラムを追加したシミュレーションシステムを構成した。この計画システムの構成では生産工程内の在庫を持たないために、原料のサプライヤからの納品が計画通りに行かない場合や、生産中に顧客注文が変更されると、生産全体に影響が及ぶ。これらの影響をシミュレータで調べてバッファを設定する方法を提案した。一定の結果が得られたので論文として取りまとめている。 (2)ビジネスプロセスの記述方法数多く提唱されている。本研究が採用しているDEVSモデルが普遍性と最小記述性を持つことを示した論文を学術誌に公表した。この結果は米国の有力研究者であるアリゾナ大学Zeigler教授らによって注目され、直接に称賛のメッセージを受けたほか、申請者は2002年度に開催される国際会議の国際プログラム委員となった。 (3)これまでの成果を取りまとめて、ビジネスプロセスの特性解析の原理と方法についての解説論文をシステム制御情報学会誌に公表した。 (4)プロジェクト管理はビジネスプロセスのひとつの重要領域である。統合基幹情報システムSAP R/3のプロジェクト管理機能の利用法について、特に動的特性に着目した新しい方法論を提唱し、方法論実施の際に必要となる知識ベースの内容を論じた。ケーススタディを行い、まだ試作の段階であるが、それらを2002年度に開催される国際会議で発表することとなった。 14年度はプロセス全体の特性の設計の理論と設計方法の発展を計る。
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