本研究の目的は、ビジネスプロセス基本概念の深化とビジネスプロセス方程式のような一般的記述を発展し、ビジネスプロセス全体の設計方法として展開し、さらにその結果をソフトウエアとして具体化することである。 本研究では、高度化させた資源所要量計画システムを内蔵しているビジネスプロセスに適用し、ビジネスプロセスの動的特性制御装置としての資源所要量計画システムという情報システムと効果的な利用形態を開発した。すなわち、市販の詳細資源所要量計画のためのソフトウエア(APS-advanced planning systemと呼ばれ)であるorderLinksを使い、それを踏まえた最適化設計のためのデータベース設計とプログラム作成を行った。その際に、研究が現実的状況を扱い、現実への適用可能性を持つことを保証するために、対象とするビジネスプロセスとしては、統合基幹システム(ERP)でトップシェアを持つSAP社のR/3の最新版の中の例題企業のプロセスのデータを参考にした。ビジネスプロセス動的特性制御装置として俊敏な生産スケジューリング計画システムを作成した成果を2編の論文にまとめ、査読を経て受理され出版された。現実に避けられない不確実性である、サプライチェーンにおける納入遅れの情報を有効に用いて、柔軟に再スケジュールする方式を編み出し、その性能を調べた成果である。さらに、効果的なスケジュールを作成できるように、遺伝的アルゴリズムを用いてスケジューラを改良中である。 今後は、本研究テーマで使っているビジネスプロセスのモデルと分析方法によってビジネスプロセスの工学的な設計方法を確立し、それらの豊富なデータを利用する最適化設計方法の一部として、計画機能の役割と効果を設計できるようにすることを狙っている。
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