第1に、日本の米国への製造業子会社561社、ラテンアメリカへの120社および米国へのサービス企業961社とラテンアメリカにおける119子会社の東洋経済新報社による海外進出企業総覧のデータと親会社のデータを分析することにより、海外の子会社は地域別、業種別の経営特性に差があり、親会社の固有の優位性や内部化の優位性は子会社の業績に対して正の効果があること、しかし、子会社の業績と進出形態とは直接関係がないことが指摘できた。因子分析や順序付きロジット回帰分析により大量のデータを分析している。第2に台湾における1987年から1998年までの46件のM & Aの効果を分析している。そのうち21件は87から93年までで、25件が94年から98年までである。25件が市場の拡大を目的とし、6件が技術取得、垂直統合、7件が多角化を目指している。存続企業の株主にとって、発表日前後で若干の正の超過収益率があること、特に、技術志向のM & Aでは市場に好意的評価を受ける、しかし垂直的M & Aでは株主の富が減少することが指摘できた。第3に、1997年から1999年までの273社の我が国における外資系企業の業績を独立変数として、産業調整済み売上高経常利益率と親会社の売上高による規模により回帰させることにより、製造業でも非製造業でも完全所有子会社の方が合弁企業より業績が優れており、少数所有の合弁企業の業績が非製造業では最悪であることも指摘できた。
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