第1に、NAFTA 3ヵ国、欧州13カ国、NIEs 4カ国・地域で活動している日本の上場企業の製造子会社890社の1998年での分析をした。経営成果を示す従属変数として、業績、成長率を採用し、進出形態、規模、派遣社員数、子会社の営業年数、産業変数、研究開発比率、広告宣伝比率、人口、インフレ率、そして、文化クラスターダミー、Kogut・Singhによる国の文化距離の変数を入れている。分析結果は、NAFTAでは進出形態が負で有意な関係があるが、欧州とNIEsにおいては、進出形態が業績とは有意な関係がないことが指摘され、全地域の集計変数では、進出形態は負の有意な関係、すなわち、合弁形態のほうが完全出資より業績が良くなることが示されている。総資産による企業規模や経験年数は業績に対しては、正の有意な関係が示されているものの、成長率に対しては有意な関係はなかった。文化クラスターからは、ゲルマン形とラテンヨーロッパ型のクラスターとKogut・Singhによる国の文化距離は業績に負の有意な関係があった。第2に西ヨーロッパへ進出している日本の上場企業の製造子会社213社の1992-2000年までのデータを利用して、進出形態にたいする、為替レート、企業規模、輸出比率、経営者の国籍、営業年数、子会社と親会社の相対的規模等の関係を分析した。親会社の規模が大きくなると完全所有より合弁形態を多く取るようになり、営業経験が長くなると合弁形態を取る場合が多くなる。また、親会社と同種類の製品を扱う子会社についは、完全所有形態が多くなる、さらに、現地の経営者が日本人であると同様の傾向を示すことが指摘できた。
|