第1に、日本の米国への製造業子会社561社、ラテンアメリカへの120社および米国へのサービス企業961社とラテンアメリカにおける119子会社の東洋経済新報社による海外進出企業総覧のデータと親会社のデータを分析することにより、海外の子会社は地域別、業種別の経営特性に差があり、親会社の固有の優位性や内部化の優位性は子会社の業績に対して正の効果があること、しかし、子会社の業績と進出形態とは直接関係がないことが指摘できた。因子分析や順序付きロジット回帰分析により大量のデータを分析している。 第2に、NAFTA3カ国、欧州13カ国、NIEs4カ国・地域で活動している日本の上場企業の製造子会社890社の1998年での分析をした。NAFTAでは進出形態が負で有意な関係があるが、欧州とNIEsにおいては、進出形態が業績とは有意な関係がないことが指摘され、全地域の集計変数では、進出形態は負の有意な関係、すなわち、合弁形態のほうが完全出資より業績が良くなることが示されている。総資産による企業規模や経験年数は業績に対しては、正の有意な関係が示されているものの、成長率に対しては有意な関係はなかった。 第3に西ヨーロッパへ進出している日本の上場企業の製造子会社213社の1992-2000年までのデータを利用して分析した。親会社の規模が大きくなると完全所有より合弁形態を多く取るようになり、営業経験が長くなると合弁形態を取る場合が多くなる。また、親会社と同種類の製品を扱う子会社についは、完全所有形態が多くなる、さらに、現地の経営者が日本人であると同様の傾向を示すことが指摘できた。
|